日本がバブルまっただ中の時代にはよく耳にしていて、バブル崩壊後、殆ど耳にしなくなっていたので既に死語なのだろうとおもっていましたが、今年に入って何度も耳にした「地面師」という単語。
あぁ、まだ居るんだなぁ。
あれ?もしかして不動産価値がまた上がりはじめる?そんな予兆なのかどうなのか…
「地面師」
正確には職種ではなくて、土地を利用することを専門とする詐欺師です。犯罪者です。
どんな手口の詐欺かというと、
①移転登録に必要な書類を偽造して、他人名義に所有権移転登記をする。
②元々の土地の所有者の住所を勝手に他の市区町村に移転して、転入届の際に別の印鑑を用意して印鑑登録を行い、印鑑証明書を発行してもらう。
③所有者に年齢や容姿が似ている者が、なりすまして買い主(購入希望者)を現地に案内して信用する。
④法務局で登記簿を閲覧中に、職員の目を盗んで登記簿原本を持ち出し、他人に売却して所有権が移転した旨を記入して元に戻し、改めて登記簿謄本の請求を行う。
⑤元々の土地の所有者から他の目的(たとえば融資とか)で預かった印鑑や委任状の語句を訂正して、土地の売買に悪用する。
手間のかかる詐欺行為なのですが、得られる金額の大きさやバブル絶頂期の不動産買い取り合戦の「甘さ」というか「ユルさ」の中では結構横行していたとか…
この場合、上記手順で作られた証書による売買契約や、抵当権を担保とした抵当権設定契約(借金)は実際の所有者が関与していないのですべて無効となり、買い主やお金を貸した金融業者が被害を負うことになってしまう。
また、多くの場合この手口の片棒を担ぐハメになってしまうのが司法書士。
ワタシもマンションを購入した際に、司法書士の先生に登記の手続きをお願いしたのですが、司法書士の一番多い仕事が登記申請の代行業務とも聞きます。
書類の不正を見抜けなかったという落ち度はあるのかもしれないのだけど、知らず知らずに登記申請の代行という形で地面師の行為のお手伝いをしてしまう。
時としてわかっていて代行業務を受ける司法書士もいたとか。
司法書士に成り立ての新人さんが、先輩の司法書士にまず言われるのが、「不動産登記書類は気をつけろ」だとか。
2005年に不動産登記法が改正されて、電子申請(オンライン登記申請)等が導入され架空名義での申請等が困難になって、不動産系詐欺が激減する…
だろうというお話だったはずなのですが…
今年ニュースになった2件ですが…
2016年6月
他人のアパート売り9億円詐取 容疑で「地面師グループ」を逮捕 警視庁
2016年11月
死亡女性なりすまし“地面師”グループ逮捕
前者は若干の強引さを感じますが、後者は上記に書いた手順に近しい手口ですよね。
とくに「死亡女性になりすまし」という言葉が印象的でした。
他の記事を読んでみると、やはり司法書士さんがまきこまれていた様子です。
登記代行の他に「成年後見」になることの多い司法書士。
嫌な話ですけど、成年後見人になっていた司法書士さんが倫理に反して亡くなった方の不動産等を違法に操作して…みたいなことが簡単にできてしまうのではないだろうか?
と思ってしまいました。
司法書士のすべてがそうとは思ってませんが、今後高齢化が更に進むにつれて孤独な老人が増え、そういった方々に成年後見人がつく事が増えていくと思うんですよね。
ワタシ自身も悲しいことに生涯独身の兆候が無い訳では無いので、時として成年後見人を見つけないといけなくなるかもしれません。
こんな
まさしく黒侍
的な記事を書く機会が増えないことを、ただ祈るばかりです。