一歩間違うと誤解を生むドラマ化-行政書士編

士業をネタにしたり、士業が主人公になっているドラマや漫画は多々あると思います。
といってもワタシが見たドラマだと行政書士と弁護士くらいで、司法書士や税理士が題材になったドラマや漫画は思い出せない訳なのですが…

そのうち「成年後見詐欺」的なダーク目線のドラマでもやってくれれば世の中ももっと司法書士に注目するのかもしれないですよね。
視聴率はどうなるか知りませんけど…

さて、そんなドラマやマンガの中でも反響が大きかったり批判に晒されたりと、やはり問題になってくるモノもありまして。
そして色々考察している最中にリスナーさんからも話題に上がったので、
第一弾として「行政書士編」書いてみようと思います。

有名な漫画で、ドラマにもなった「カバチタレ!」と続編の「特上カバチ!!」

かいつまんで説明すると、不当な懲戒解雇された主人公の田村が、偶然知り合った行政書士の大野のアドバイスで退職金と未払いの給料が支払われる。
そんなきっかけで行政書士に興味を持ち、大野の事務所に入社して行政書士を目指す。そんな感じのお話です。

漫画が原作な訳なのですが、
行政書士として逸脱してる行為で、弁護士法第72条に違反する非弁行為ではないか?
という指摘も当時あったのですが、作中でもこの内容に触れ、事件性必要説にたつので、非弁行為にはならないと解釈されていました。

事件性必要説って聞き慣れない単語なので少し補足しますね。

JURIS ~事件性必要説は通説などではない~より引用

事件性必要説は、弁護士法72条を文言どおり解すれば、代理人になれるのは弁護士だけだということになり、商取引や現実の社会関係に適合しないのではないか、それでは現実に合致しない、という主張を行います。
そうすると、弁護士法はこのような不都合を定めたとは考えられないのであるから、弁護士法72条のいう「法律事務」とは、紛争性(事件性)のある事件を言い、紛争性のないものについては弁護士法72条違反ではない、と考えるとするものです。

簡単に言うと、紛争性、事件性が無ければ弁護士じゃ無くても法的事務で報酬得て良いのでは?という考え方らしいです。
引用させていただいたサイトに、判例も出てるので詳しくはそちらをご覧下さい。

さて、話を戻しますね。

そんな漫画を題材にした1作目のドラマ「カバチタレ!」(フジテレビ系列)では特になかったそうなのですが、
2作目の「特上カバチ!!」(TBS系列)では、大阪弁護士会がTBSに抗議していたそうです。

ちなみに大阪弁護士会さん、NHKで放送された「コンカツ・リカツ」に関してもNHKに抗議していたそうです。

どちらも内容は同じで

「弁護士以外が報酬目的で法律事務を取り扱うことを禁じた弁護士法に違反する」
「法的手段や法律解釈に踏み込んだ見解を示し、行政書士の職務権限を逸脱している」

等々。

ここで紹介したドラマは漫画であったり書籍が原案なのですが、紙媒体の時はそれほど大きく騒がれないのが特徴なんですかね。
確かにドラマ化やアニメ化されると、テレビという誰もが目にする媒体になるので、
漫画なんて読まない、婚活とか当時の「今」な単語の本には興味の無い人の目にもつく。

その結果、大々的に騒ぎになるのかもしれませんね。
上で挙げているドラマは2009年~2013年頃のもので、今は特にネット社会だからもっと情報が広がるのはきっと早いし、この「不寛容社会」な時代、昔以上に色々言われるんじゃ無いかな。と思うんですよね。

確かに「弱者が強者に立ち向かう」的な解釈が成されるストーリーが一番万人受けするんですよね。

故にファンタジーやスポ根モノ、格闘モノなんかは成立するし、あくまでもフィクションと言い張ってしまえば目からビームが出ても、手から火の玉が出せても成立するんだけど、
徹底的に非現実的である事を銘打っておかない限り、実在の職業等の場合、只の逸脱者で違反者と解釈されてしまうのかもしれないですね。

今回この記事を書いていて、原作を読み返してみて、
更に何度も出てくる、弁護士法第72条

第72条
弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、異議申立て、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。

と、読み返してみて、やっぱり作中の行政書士の行為としてはNGなのかな。とワタシは感じてしまいました。
フィクションでも紙媒体上までの話なんですかね。許されるのって。

ネットで更に色々調べてみると、「勘違い行政書士」的な記事がちらほら。
それらの殆どがやっぱりこれらの作品の影響受けてる様な感じらしいです。

漫画やドラマは殆どがフィクションであって非現実なのに、それを鵜呑みにしてる勘違いさんがいるんですね。
正義の味方の夢、見ちゃってるんですかね?

2 件のコメント

  • こんばんは。気になってコメントしました。
    記事の内容とは、多少違うかもしれませんが行政書士や弁護士を主人公に設定するドラマ、結構ありますよね。
    私は「離婚弁護士」が大好きです。未だに、DVDを借りて見るほど。
    フィクションとはいえ、人の為に自らの戦略と頭脳を使い依頼者=弱者という設定にし、勇敢に戦う弁護士は凄いと感じます。
    中には、利用してお金を取り上げる意地汚い人もいるので、全てじゃないのかなと。

  • 「カバチタレ」の原作者は行政書士の有資格者という情報がありますね。
    有資格者なので題材にしやすかったのでしょうね。
    原作者は行政書士の置かれている状況が分かっているからこそ、フィクションの世界では活躍させたかったのではないでしょうか。
    漫画やドラマの好影響により、行政書士の待遇を改善させる意識も働いていたかもしれません。

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