ついに東京弁護士会の裁定がでましたね。
最終の請求リミットの2017年の12月18日までもう少し。この手の過払い金請求で盛り上がっている弁護士さんにしてみれば今が最後の追い込み!!
と言ったところでアディーレ法律事務所に業務停止の懲戒処分が下されました。
東京弁護士会の公式文書はこちら
https://www.toben.or.jp/message/pdf/171011adire.pdf
要約すると、消費者庁に是正勧告された「不当景品類及び不当表示防止法」が弁護士法第56条第1項の品位を失う非行になるので法人・代表者の業務停止ということらしいです。
弁護士法、第五六条
1 弁護士及び弁護士法人は、この法律又は所属弁護士会若しくは日本弁護士連合会の会則に違反し、所属弁護士会の秩序又は信用を害し、その他職務の内外を問わずその品位を失うべき非行があつたときは、懲戒を受ける。
2 懲戒は、その弁護士又は弁護士法人の所属弁護士会が、これを行う。
3 弁護士会がその地域内に従たる法律事務所のみを有する弁護士法人に対して行う懲戒の事由は、その地域内にある従たる法律事務所に係るものに限る
つまり法律違反は品位を失うべき非行行為と言うことなのでしょう。
実はワタシは「せいぜい1ヶ月の業務停止でおわるんだろうなぁ」とか思っていたんですよね。
ところがですよ、懲戒内容としては
代表の石丸幸人氏が業務停止3ヶ月、弁護士法人アディーレ法律事務所が業務停止2ヶ月とワタシの予想を裏切るくらいキツい裁定だったのでちょっと驚きました。
やはりこの組織規模での法律違反なのでここまで重い裁定になったということでしょうか。
他の弁護士事務所や弁護士からは「重すぎるのではないか」との声も上がっているそうです。
日弁連の定める基準では業務停止期間が2ヶ月を超える場合、依頼者との委任契約をすべて解除しなければならない。とされているためだとか。
別の弁護士は「業務停止1ヶ月と2ヶ月では、実刑と執行猶予ぐらいの差がある」と…
当事者のアディーレさんは処分を不服として、日弁連に審査請求を申し立てる方針だそうなのですが、色々文献を読んでいる限り申し立てを行っても実際に審査されてなんやかんやとその申し立てを認めるか否か、が出るのっておそらくは業務停止期間が明けてからなんですよね。
結果的にアディーレさんのサイトに
https://www.adire.jp/
こんな記事が。
TOPページをそのまま差し替えた感じですね。業務停止になるとサイト上もここまで徹底しないといけないんですね。
ん?ちょっと待った。以前やはり業務停止で取り上げた板倉直壽行政書士のサイトって、業務停止中も過去の記事とか色々閲覧出来たような記憶が…
行政書士と弁護士ではそういった部分の制限って違うんですかね?
詳しくはこちらを参照。
ちょっと脱線しちゃいましたね。
さて、本題。
内容を読んでいくと、やはり仕掛かり中の案件はそれなりにあった様子ですね。
Q&A形式で対応方法が色々明記されているのですが、Q7の回答に「規定により、全てのお客様のご契約を解除させていただいております。」とあります。
冒頭で書いたとおりで、2ヶ月を越える業務停止となった場合、日弁連の既定ですべての契約を解除しないといけないわけで、
この場合、やはりアディーレさんの王道とも言える事案の「過払い金請求」の対応も他所の法律事務所やら弁護士の先生に再委託になるようですね。
Q11のケースが最も怖い気がします。
和解未了の事案に関する説明なのですが、交渉中の債権者との直接的なやりとりも示唆されていて、弁護士を新たに選任するまでは自分で対応してくださいね。という事のようです。
業務停止期間中なので別の弁護士の紹介も出来ないんですね。もし紹介するにしても個人的にこっそりとか、きっとそういった感じなのでしょうね。
今回のアディーレさんの事案について、2つの問題点があるとワタシは思うんです。
一つはやはり弁護士資格を持つ者として法の遵守が絶対必須のはずなのに法律違反をしてしまったこと。また、それが一弁護士のレベルではなく、全国に展開している弁護士法人が犯してしまった。ここが重く受け取られているのだと思います。
もう一つは…
むしろこちらの方が罪とも思えるのですが、今回の裁定によって迷惑を被る依頼者、お客様が多数いるということ。だと思うんです。
今年の4月にワタシが前作の記事を書いた頃、懲戒審査相当と言うことで審査が始まってから、かなりTVでCM流れてましたよね?
ブラックマヨネーズさんとか人気芸人さん起用したCMとかガンガン流してましたよね。
ここから先は法人としてのリスクマネージメントなのかもしれないんですけどね、「もし業務停止等、業務が出来なくなった場合、お客様(この場合依頼者ですかね)の対応はどうしよう?」って代表の人間なら考えそうなモノなんですか。石丸幸人氏にはソレをまるで感じられないことですよね。
迷惑被るのは収益を失う当人よりも、お客様のハズなのですが…
それでも集客を続けるって事は「たいした処分にならない」と思っていたのか、「とにかく集客!!商売商売!!」って感覚だったとしか思えないんですよね。
「経営」を行う者として、守るべきは「身内」ではなくて、弁護士法人なので在れば「株主」でもないわけで、やはり「依頼者」なのではないかとワタシは思います。
この事件、弁護士の先生方にとって相当大きなニュースだったらしく、この先も色々と続報や似た事案が出てくるのではないかと思います。